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ヴィヴァルディって何もの!!って思う向きには、今週の「バロックの森」のプログラムはもってこいです。月曜日から土曜日までの6日間で、ヴィヴァルディ検定(あったらの話しですけど、そのうち可能性もありそう)の初級クラスはマスターできます。20曲ほどが放送されますけれども、それぞれに使用されるCDも吟味されています。海外盤や、日本盤は廃盤になっているアイテムもありますけれども知られた演奏揃い。定盤と言ってLP時代の古い録音が少ないのも嬉しいですね。[ JUGEMテーマ:バロック時代の音楽 ]
バロックの森 −ヴィヴァルディの音楽−(1)
案内:今谷和徳 NHK-FM、2010年9月20日、月曜日 午前6時放送。 - ヴィヴァルディの音楽 -(1)
「トリオ・ソナタ ニ短調 作品1 第8 RV.64」 ヴィヴァルディ作曲 (9分24秒) (バイオリン)エンリコ・ガッティ (演奏)アンサンブル・アウロラ
放送されたCD:<Glossa GCD921203 >
「“調和の霊感"作品3から 協奏曲 第1番 ニ長調 RV.549」ヴィヴァルディ作曲 (8分04秒) (演奏)エウローパ・ガランテ (バイオリン、指揮)ファビオ・ビオンディ
放送されたCD:<Virgin Classics 7243 5 45315 2 1>
「グロリア ニ長調 RV.589」 ヴィヴァルディ作曲 (27分52秒) (ソプラノ)キャサリン・フーグ (メゾ・ソプラノ)ルーシー・バラード マーガレット・キャメロン (アルト)エリナー・カーター (合唱)モンテヴェルディ合唱団 (演奏)イングリッシュ・バロック・ソロイスツ (指揮)ジョン・エリオット・ガーディナー
放送されたCD:<Decca 462 597-2 >
ありがとうございます。エリカ・モリーニのチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲へ、オーダーを頂きました。このレコードは2010年9月19日、日曜日に売約済みになりました。このレコードは《ウエストミンスター究極の名演》シリーズとしてLP時代を通して親しまれていました。いつの間にかヴァイオリン演奏のスタイルとしては時代遅れと思われて、CD時代の今ではどれほどの愛好家がコレクション以上の楽しみ方をしているのでしょう。
『正統的なウィーン・スタイル』と冠がつけられると、堅苦しいですね。きっとエリカ・モリーニ自身がむずがゆい思いではないかしら。わずか8歳、9歳ぐらいで大指揮者や、大ヴァイオリニストの後押しを受けて世界中に演奏旅行をして一時代を築いた女性ヴァイオリニスト。最近の女性ヴァイオリニストよりも大変な出来事にもあったことでしょう。演奏活動が早かったことが幸いして戦争を逃れてアメリカ移住が出来ましたけれども、家族を残してきてしまったことは心細いものがあったことでしょう。エリカ・モリーニのヴァイオリンは、演奏のスタイルよりも音色の美しさに身を置く音楽です。『ウィーンのエレガンス』そのものだと思えます。1956年9月 ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホールでのモノラル録音。[ JUGEMテーマ:ヴァイオリン奏者 ]
売約済☆通販レコード 紹介☆ 【協奏曲】
レーベル:米WESTMINSTER
レコード番号:XWN-18397
オリジナリティ:グリーン・ラベル、ミゾ有り、2ndラベル
レーベル 米WESTMINSTER
レコード番号 XWN-18397
試聴感とレコード盤、ジャケットのコンディション: 1957年録音のものをRIAAカーブに切り直したもので、オリジナルよりもこちらの方が音のバランスが良く再生できます。「舞い上がるようなリリシズム」と評された彼女の良さは、やはり第2楽章に表れていてその音の美しさは、女性ならではのものと言えます。3楽章に入ってもその音は、繊細ではかなげです。
ⓇEX++ ⒿEX++ 価格(税込み、送料込み価格) 8,000円(8,400円)
オーダーありがとうございます。このレコードは2010年9月19日、日曜日に売約済みになりました。ジャクリーヌ・デュ=プレとジャネット・ベイカーの代表的録音が一緒に楽しめる、モノクロ切手ラベルになって「チェロ協奏曲」と「海の絵」がカップリングになった人気盤。初発時の組み合わせよりも親しまれているオリジナル盤です。コレクターズ・マストの中でも、良盤が入手しやすいアイテムです。[ JUGEMテーマ:チェロ ]
売約済☆通販レコード 紹介☆ 【協奏曲】
レーベル:英 EMI
レコード番号:ASD-655
オリジナリティ:モノクロ切手ラベル、3rdラベル
試聴感とレコード盤、ジャケットのコンディション: 1965年録音。デュ=プレの残した貴重な録音の1枚。また、現在でもこの曲の最高の録音の1つとしてレコード・ファンの間でも極めて人気のある一枚。3rdラベルですが音質は優秀、歪み感もなくオーケストラの音に充分な厚味もあります。
ⓇNM ⒿNM
価格 ¥6,000(¥6,300 税込み、送料無料)
お問い合わせや希望は、このエントリーにコメントして下さい。 稀少なオリジナル盤を紹介しているアマデウスクラシックス( http://amadeusclassics.otemo-yan.net/ )で扱っているレコードは 一点物ですから、オーダーは先着順に応じさせて下さい。
このエントリーはショップサイトでの販売情報に先駆けての案内です。正しくはショップサイトでの確認をしてください。サイトでの紹介前に予約を頂いて既に売約済みの場合があります。
復活交響曲だけを指揮して、録音を繰り返している指揮者がいますね。世界記録を狙っているとか、1曲だけが指揮できる曲なのではないはずです。世界中のオーケストラが機会あれば演奏会を望んでいるようですし、例え一巡してもおしまいにはならないでしょうね。使命感に囚われているものでもないでしょう。
金曜日のバロックの森のカンタータのあとで放送された《フーガの技法》の中核にあるのが、今朝の放送の《コントラプンクトゥス》。バッハの作曲技術の集大成で、音楽の凝縮度が高い音楽です。1940年頃から作曲に着手されました。1942年には最初の12曲が完成されていましたから、40年代後半には出版のめどが立っていたようです。自筆譜として残されている一冊の綴りの初めの半分は浄書されたものと言われているほど綺麗な書体で書かれています。
バッハの構想では前半12曲とそれに答える12曲を組み合わせた24曲が予定されていたものと思われますが、19番のフーガ(第14コントラプンクトゥス)が未完となっています。自筆譜には、バッハの息子であるC・P・E・バッハによって、「作曲者は、"BACH"の名に基く新たな主題をこのフーガに挿入したところで死に至った("Über dieser Fuge, wo der Nahme B A C H im Contrasubject angebracht worden, ist der Verfasser gestorben.")」と記されています。バッハの頭の中では完成していたのでしょうかね? ショパンの練習曲集のように分冊で発表していたら鍵盤楽曲として印象の変わった受け止め方が出来たんじゃないかしら。《フーガの技法》には名盤とされるCDが幾つもありますけれども、標準的演奏であるとか決定盤というものはありませんから所有するしないは問題でなく多くの演奏に接することが宜しいと思います。
出版されている楽譜には、未完のフーガを補完する形で『あなたの玉座の前に今わたしは進む (独 Vor deinem Thron tret Ich hiermit)』 BWV 668aのコラール前奏曲が加えられています。バッハが亡くなる時に弟子に口述筆記させたと言うことです。ということは出版される楽譜としては推敲を繰り返しては居たもののバッハの意識の中では《フーガの技法》の全曲は鳴り響いていたのでしょうね。このコラールは未完の部分を分析するためのキーではなくて、“フーガの大家・バッハ”が生涯に残した音楽を白紙にしても後世に残したいと思った旋律だったのではないでしょうか。ロレンツォ・ギエルミのCDでも演奏されています。[ JUGEMテーマ:今聴いてる音楽教えてください! ]
バロックの森 −バッハの“フーガの技法”−
案内:礒山雅 - バッハの“フーガの技法" -
「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲
「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲
「フーガの技法 BWV1080から」 バッハ作曲
「フーガの技法 BWV1080から 対位法第14」バッハ作曲 (8分28秒)
「コラール“あなたの玉座の前に今わたしは進む" (バッハが弟子に口述したとされる作品)」バッハ作曲 (4分46秒) (フラウト・トラヴェルソ)マルチェルロ・ガッティ
(チェンバロ、フォルテピアノ)ロレンツォ・ギエルミ (演奏)イル・スオナル・パルランテ
放送されたCD<Winter&Winter 910 153-2 > ※2009年6月9日発売
豊穣の海、バッハの音楽の大海を堪能するといっても適えられないことがあります。去勢しているカストラートの歌声が、それです。当時の教会では女性の演奏家は使えませんでした。教会での制限に限らず、モーツァルトが宮廷で活動をしている頃にも去勢した男性が女性役を歌っているのは当たり前のことでした。今では女性ソプラノが歌うのが通常で、当時は男性だったからとカウンターテノールや、ソプラニスタの歌声をカストラートをしのぶ手慰みとしています。
カウンターテノールは男性の高い声を聞かせることで、それよりも高い女声に近い声がソプラニスタとして世界で3人しかいないとかって話題にしていたりもしましたけれども、様はファルセット(裏声とは正確には同じではないようですけれど)で歌唱力が未熟とはいってもボーイ・ソプラノの方がわたしは好ましく感じています。本当のカストラートはどうだったのかと思いますけど、ソプラニスタには女的である印象があったりして苦手です。もしかしたら去勢に近い、男性器異常があるかも知れませんね。それとも、性欲の薄い男性は声が高いのかな。
楽器は古いものが見つかったら修復して演奏することが出来ますから、昔もこういう音色だったんだなって楽しむことが出来ますけど歌声、人の声は記録に残す他はないものですからカストラートの声って実際はどんなだったのでしょうね。
さて、バッハの時代。ドレスデンの宮廷にビンディというイタリア人カストラートがいました。1730年、45歳のバッハがビンディが歌うことを前提に作曲したのがカンタータ第51番“凱歌を挙げよ、神に、全地で”です。イタリアの音楽に憧れていたバッハがオペラのアリア風に書いた教会カンタータです。トランペットとコロラトゥーラが華やかに絡み合っています。中間部の抒情性は、敬虔さよりもロマンティックな歌と言っても良いほど。トランペットではなくてテノールだったとしたら、オペラのデュエットのようです。
聖書の言葉に当てはめて作曲したものがカンタータですから、バッハが楽しめるオペラを作曲できたかどうかは適えられない夢ですけれども、技法を駆使したオペラになっていたことでしょう。
カンタータ第138番“なぜ憂えるのか、私の心よ”の作曲は1723年。バッハの作品はあいうえお(アルファベット順)に目録になっていますので、番号と作曲された時代は前後しています。この曲は第51番と同じく“三位一体”のカンタータで、9月の第一日曜日からお彼岸(ヨーロッパの古い宗教は太陽の運航に従っていることがあって、秋分や冬至と言った節目が日本に近いです)前の日曜日の間に聴く音楽です。
フーガの技法は、バッハの最後の作品となった未完の音楽で演奏する楽器の指定がないことから謎が多くて、且つ、そこがジャズのプレイヤーも演奏したりする刺激の多い曲。技術的に極まれりという感じで親しみやすい音楽ではないですね。感性的に演奏をするジャズメンが興味を持つって面白いですよね。大抵CD2枚組なんですが、今日の放送で紹介された演奏は一枚物CDです。ロレンツォ・ギエルミはともにイタリア(ミラノ)で1738年(曲が着手される頃)に作られたチェンバロと、1749年(バッハが亡くなる頃)につくられたピアノフォルテを使って演奏。放送では全体から4曲が紹介されていますが、弦楽四重奏も交えていて未完のコントラプンクトはギエルミ自身が補完して演奏しています。2009年に発売されたばかりの最新の解釈による“フーガの技法”として楽しんでみてはいかがでしょうか。[ JUGEMテーマ:今聴いてる音楽教えてください! ]
バロックの森 −バッハの作品−
NHK-FM、2010年9月17日、金曜日。午前6時放送。
案内・礒山雅
- バッハの作品 -
「カンタータ 第51番“凱歌をあげよ、神に、全地で" BWV51」バッハ作曲
Jauchzet Gott in allen Landen!
(16分37秒)
(ソプラノ)マリン・ハルテリウス
「カンタータ 第138番“なぜ憂えるのか、私の心よ" BWV138」バッハ作曲
Warum betrübst du dich, mein Herz
(17分07秒)
(ソプラノ)マリン・ハルテリウス
(アルト、カウンター・テノール)ウィリアム・タワーズ
(テノール)ジェームズ・ギルクライスト
(バス)ピーター・ハーヴィー
(合唱)モンテヴェルディ合唱団
(演奏)イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(指揮)ジョン・エリオット・ガーディナー
放送されたCD<Soli Deo Gloria SDG104 ライブ録音 2000年 ブレーメン> ※2005年5月10日発売
「“フーガの技法"BWV1080から」 バッハ作曲
(チェンバロ、フォルテピアノ)ロレンツォ・ギエルミ
放送されたCD<Winter&Winter 910 153-2 > ※2009年6月9日発売
忘却されていた音楽家の1人、グラウプナーの作品4曲がNHK-FM「バロックの森」で紹介されました。音楽史上においてはバッハがトーマス教会のカントルになる事を、とても強く推薦したことで名前が出てきます。クラシック音楽のとても大切なところでのキーパーソンになっていることだけでも素敵な名前の残し方をしたものだと思います。でも、何故? そんなにグラウプナーって影響力の強い存在の音楽家なの、って言うのが正直な思い・・・でした。
グラウプナーの音楽活動はJ.S.バッハのそれを覆う感じです。晩年がバッハ、ヘンデルと同じに失明していることまで同じです。やはり50年も毎日教会で演奏するための新曲をひたすら書き続けたことでの、目の酷使でしょう。
作った曲は2,000曲と多く、宗教曲が1,500曲ほど。でも、割合としてはバッハよりも楽器のための作品が多いほどです。これほどの作品が残っていながら忘れられていたとは驚きですね。人知れぬ作曲家ならともかくも、バッハを推薦するほどの知名度のあった作曲家であるのですから。
まあ、グラウプナーがバッハをトーマス教会のカントルに推薦するきっかけとなったのが、実のところはグラウプナー自身にカントルの仕事への誘いがあったことにあります。でも、グラウプナーを気に入っていた伯爵(ヘッセン=ダルムシュタット方伯エルンスト・ルートヴィヒ)が手放さないと譲らなかったからです。グラウプナーの死後、伯爵家が遺族に権利を譲らなかったことが忘れ去られる大きな原因なのですが膨大な作品が散逸を免れたのは“幸”なのか“不幸”なのか。
1970年になってバロック音楽のブームが到来、バッハやヴィヴァルディといったブーム以前から演奏されていて作品が改編されていたり、長年の手垢にまみれた音楽ではなくて作曲された当時の純然たる作品がないのだろうかという音楽家達が発見した作曲家がグラウプナーだったのでした。思いがけない大きな宝物を見つけた思いだったでしょうね。これからどしどし演奏、録音されていくことに期待しています。
数年前にモーツァルトの新曲が発見されたり、昭和40年頃まではショパンが見つかったりしていましたけれどもいずれも小曲。グラウプナーが一般的に親しまれるようになれば、クラシック音楽のレパートリーが一気に2,000曲増えることになるのですから嬉しいものです。
さて、日頃からクリストフ・グラウプナーと名乗ってファーストネームのヨハンは使わなかったといいます。何故だろう?バッハへの敬意かな?。ちなみにテレマンの友人でもありました。管弦楽曲が華やかなのは渋いバッハよりはテレマンを思わせますよ。[ JUGEMテーマ:今聴いてる音楽教えてください! ]
バロックの森 −グラウプナーの作品−
NHK-FM 2010年9月16日、木曜日 午前6時放送
案内…礒山雅
- グラウプナーの作品 -
「管弦楽組曲 ト長調」 グラウプナー作曲
(18分46秒)
(管弦楽)ダス・クライネ・コンツェルト
(指揮)ヘルマン・マックス
放送されたCD:<CPO 999 592-2 >
「歌劇“カルタゴ女王ディドー"から」 グラウプナー作曲
(ソプラノ)イングリット・シュミットヒューゼン
(演奏)レジデ・ウールーズ
(指揮)ジュヌヴィエーヴ・ソリー
※1707年、ドイツ・ハンブルグで作曲。
「ファゴット協奏曲 変ロ長調」 グラウプナー作曲
(11分31秒)
(ファゴット)マテュー・リュシエ
(演奏)レジデ・ウールーズ
(指揮)ジュヌヴィエーヴ・ソリー
※1731年、ドイツ・ダルムシュタットで作曲。GWV.340
「チェンバロとバイオリンのためのソナタ ト短調」
グラウプナー作曲
(7分46秒)
(チェンバロ)ドロテーア・ヴェンチューラ
(バイオリン)オリヴィエ・ブロー
※1740年、ドイツ・ダルムシュタットで作曲。GWV.711
放送されたCD:<Analekta AN2 2014 >
ヘンリー・パーセルはイギリスのクラシック音楽史で唯一の存在です。その為に長老のような印象もありますが、36歳の若さでなくなっています。王室のオーケストラの常任指揮者となって世に出たのが弱冠18歳。短い生涯に400曲書き残しています。パーセルの活躍したエリザベス1世の朝廷はスポーツや娯楽が盛んな時代で、年中行事も多かったようなので作曲に演奏にといそがしいものだったでしょうね。ところがその繁栄が、音楽の発展のためにとイタリアから招いた音楽家に席巻されて音楽の世界はイタリア音楽一色になってしまってイギリスの作曲家がパーセル以降の音楽史に名前が出てこないものとなってしまいました。
海外のものがチヤホヤありがたがられるのは、坂本龍馬達の欧米への関心ぶりをみると同じだったんだと感じられますね。よくぞ日本の文化は残ったものだと思います。国土の占領よりも文化・・・心の占領はもっと怖いものです。アレグロとかピアノフォルテとか、ドレミファソラシドは総てイタリアからのもの。モーツァルト、ベートーヴェンの時代までオペラはイタリア語で聴くのが当然だった時代が続きます。クラシック音楽の世界では公用語と言って良いでしょう。英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語はヨーロッパ社会では嗜みだったのでしょうから、オペラはイタリア語で聴くものと定着してしまったのでしょうね。日本語の根強さは今でも、何でも日本語化してしまう強引さがありますね。
さて、パーセルの曲にはメアリー女王のための音楽が多くあります。エリザベス1世を名指ししないでも、メアリー女王を讃えることはエリザベス女王と、国歌を讃えることになっていたのです。オードとは称賛する歌、頌歌(しょうか)のことです。ロックでもドアーズのジム・モリソンが「グラスホッパーのオード」を「ジ・エンド」に引用していたりしますね。
バロックの森 −パーセルの“メアリー女王の誕生日のためのオード”−
NHK-FM 2010年9月15日、水曜日 午前6時放送 案内・礒山雅 - パーセルの“メアリー女王の誕生日のためのオード" -
「メアリー女王の誕生日のためのオード
“さあ、栄光の日がやってきた"」パーセル作曲
CELEBRATE THIS FESTIVAL - BIRTHDAY ODE FOR QUEEN MARY, 1693
(23分42秒)
(ソプラノ)エマ・カークビー
イヴリン・タブ
(カウンター・テノール)マイケル・チャンス
(テノール)イアン・ボストリッジ
(バス)スティーヴン・リチャードソン
サイモン・バーチャル
(合唱)ウェストミンスター大寺院聖歌隊
(管弦楽)ニュー・ロンドン・コンソート
(指揮)マーティン・ニアリー
<Sony classical SRCR9900> 放送で使われた日本盤CDは廃盤になっています。中古盤(輸入盤 Sony Classical SK66243 2001年4月26日発売) は入手可能です。
「メアリー女王の誕生日のためのオード
“来たれ、芸術の子ら"」パーセル作曲
(23分40秒)
(ソプラノ)エミリー・ヴァン・エヴェラ
(カウンター・テノール)ティモシー・ウィルソン
(テノール)ジョン・マーク・エインズリ
チャールズ・ダニエルズ
(バス)デーヴィッド・トマス
(合唱)タヴァナー・コンソート
タヴァナー合唱団
(管弦楽)タヴァナー・プレーヤーズ
(指揮)アンドルー・パロット
<東芝EMI TOCE-11280-81> 1999年5月26日発売「パーセル:祝典オード&アンセム集」、廃盤。
著名な教師でもあったことから、ほとんどの作品が出版されバッハやヘンデルも研究していたほどで「カノン」で知られるパッヘルベルの音楽には最もケルルの影響が聴かれると言われています。でも、何故か現在では全く忘れられた存在の作曲家です。音楽的にはムファットやフローベルガーと共通したところがあってケルルだけでのCDは少ないのですけれどもムファットやフローベルガー、そしてフローベルガーの師フレスコバルディの音楽と一緒に録音されている機会がありますので心がけて聴きましょう。
純粋に教会でのオルガン演奏のために作曲された《8つのトッカータ》など一部を除いて、鍵盤楽器のための○○○という感じでチェンバロ、オルガンの指定を定めてはいません。19歳の時にヴリュッセル城のオルガニストについてから、亡くなる一年前まで66年間音楽家として通しましたが、8人の子どもからは1人として音楽家になっていない理由は不思議なこととなっています。ケルルの名前が忘れられていったのは、家庭的な事情があったのかも知れません。[ JUGEMテーマ:なんかとっても誰かに勧めたい音楽。 ]
バロックの森 放送リスト 2010年9月14日火曜日、午前6時放送
- ケルル Johann Caspar Kerll(1627-1693) の作品 -
「トッカータ 第1番 ニ短調」 ケルル作曲 (3分30秒) (オルガン)ヨーゼフ・ケレメン
<放送されたCDOehms classics OC362 >
「ウィーン包囲の嘆きを慰めるミサ曲 Missa in fletu solatium obsidionis Viennensis 」 ケルル作曲 (27分56秒) (合唱、演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル ※ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブルのメンバー (ソプラノ)エヴァ・レープヘルツ・ヴァレンティン アネグレート・クラインドプフ (カウンター・テノール)ラルフ・ポプケン (テノール)イェルン・リンデマン ニルス・ギーベルハウゼン (バス)マルティン・バックハウス
「3声のカンツォーナ」 ケルル作曲 (5分28秒) (演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル (指揮)アルノ・パドゥーフ
「モテット“天使の食事で"」 ケルル作曲 (3分30秒) (合唱、演奏)ヨハン・ローゼンミューラー・アンサンブル (指揮)アルノ・パドゥーフ
<放送されたCDChristophorus CHR77249 >
「パッサカリア ニ短調」 ケルル作曲 (6分15秒) (オルガン)ヨーゼフ・ケレメン
<放送されたCDOehms classics OC362 >
嵐が扉を烈しく打ち開いた音に、ジークリンデは大きな悲鳴を上げる。怖がらないで大丈夫だよ、入ってきたのは、ほらっ、春の兆しだ・・・、と紅潮したままのジークムント。ジークリンデは夫のフンディングの手下達が入ってきたのかと驚いたのでした。誰もいないことが確認できると、若い2人の抱擁はエスカレートしていく。ジークムントは父の残した霊剣ノートゥングを得た心強さ、トネリコの幹に深く突き刺さっていて誰にも抜くことの出来なかった剣をことも容易に抜き取った男に期待感を高めるジークリンデ。不安で抑えていた感情が吹っ切れると、2人は身体を重ねてしまう。そして2人はフンディングの家から逃走する。
「冬の嵐は過ぎ去り、快い月となった」(ジークムント) 「寒い冬の日々に私が憧れていた春こそあなたです」(ジークリンデ)
無限旋律と言われるワーグナーの音楽のもっともたる「ワルキューレ」の中で、烈しく扉の開く音楽の後一瞬の間があって優しく春が入ってくる。アリア「冬の嵐は過ぎ去り、君こそは春」としてテノールのレパートリーとして古くから張りのあるテノール歌手は得意としています 。ワーグナーの音楽は作品の世界観などの要素が深く影響しているので、単独で歌われることは少ない。きっと歌う方も気持ちを持って行くのが難しい曲なのかも知れませんね。
その点、愛の場面を切り抜いたと思って歌ってもらった方が苦労の果ての安らぎとの遭遇の歌ではなくて、醸し出すエロティックが楽しめるんじゃないかしら。[ JUGEMテーマ:オペラ ]
ライトモチーフの扱いは美しく、なかでも木管楽器の演奏は特筆すべき美しさ。室内楽的な叙情性の際だった音楽だった・・・と、フィリップ・ジョルダンとパリ・オペラ座管弦楽団を称賛しているニュースが充分に浸透していた通り日曜日(2010年9月12日)の午後に、この秋最初の美しい時間を持たせてくれたのがNHK-FM「海外オペラアワー」で放送された、今年6月にパリ・オペラ座で上演されたワグナー作曲、楽劇「ワルキューレ Walküre 」でした。
指揮はアルミン・ジョルダンの息子。父親譲りを感じさせるほどフランス流のワグナーと言ったら他を凌いでいますよね。一言で言って色彩的でメリハリのある音楽。ワーグナーになじみのないリスナーでも入りやすい音楽造りをしています。
色々と目にしていた評判通りに満足のいく美しい音楽でした。ジョルダンは第一幕冒頭の嵐のシーンは烈しく速いテンポで責め立てるように進めていて、歌手達の登場を今か今かと待ち焦がれているような演奏でした。主役の2人が登場すると、烈しく早い前奏曲は一転。とてもロマンティックなチェロの独奏で歌手達の歌を引き立てていました。
第一幕では、ジークムントを歌うロバート・ディーン・スミス、ジークリンデを歌うリカルダ・メルベトの2人共に好調。バイロイト音楽祭での上演でのお馴染みのコンビだけに歌唱は安心して聴けます。見せ場、父親が残した一振りの名剣ノートゥングを手に入れたくだりは感情の高まりに従った烈しい音楽。ロバート・ディーン・スミスはバイロイトでも、ヴェルゼ!ヴェルゼ!と2度の父親への呼びかけをとても長く引っ張りますが、この上演でも同様で尚のこと第一幕の要になっているロマンティックなワーグナーでした。
▽フィリップ・ジョルダン指揮による
ワーグナーの楽劇“ワルキューレ”
「楽劇“ワルキューレ”」 ワーグナー作曲
(第1幕:1時間04分52秒)
(第2幕:1時間33分46秒)
(第3幕:1時間09分48秒)
ジークムント…(テノール)ロバート・ディーン・スミス
フンディング…(バス)ギュンター・グロイスベック
ウォータン…(バリトン)トーマス・ヨハネス・マイア
ジークリンデ…(ソプラノ)リカルダ・メルベト
フリッカ…(メゾ・ソプラノ)イヴォンヌ・ナエフ
ブリュンヒルデ…(ソプラノ)カタリーナ・ダライマン
ゲルヒルデ…(ソプラノ)マージョリー・オーウェンズ
オルトリンデ…(ソプラノ)ゲルトルート・ヴィッティンガー
ワルトラウテ…(メゾ・ソプラノ)シルヴィア・ハブローヴェッツ
シュヴェルトライテ…(アルト)ヴィープケ・レームクール
ヘルムヴィーゲ…(ソプラノ)バルバラ・モリーヤン
ジークルーネ…(メゾ・ソプラノ)ヘレーネ・ラナーダ
グリムゲルデ…(メゾ・ソプラノ)ニコル・ピッコローミニ
ロスワイセ…(メゾ・ソプラノ)アタラ・シェック
(管弦楽)パリ・オペラ座管弦楽団
(指揮)フィリップ・ジョルダン
〜フランス・パリ・バスチーユ パリ・オペラ座で収録〜
<2010/6/26>
(ラジオ・フランス提供)
この「ワルキューレ」は今年プレミエをむかえた演出。昨年の「ラインの黄金」に続くギュンター・クレーマーの新演出ですが、こちらについてはかなり問題有りという評価が多くあります。今回はFMのみの放送でしたから第1幕、第2幕が終わったあとの絶大な拍手、ところが第3幕の後のブーイングに演奏は1番良かったのに?と前知識無く聴いていたら思ったことでしょう。
タンホイザーでの全裸の女性たち(薄いストッキングで首までを覆ったもののようでもありましたが、総て透けて見えていました。薄暗い舞台の照明でははっきりとは分からないものでした)に驚いたのが初めてオペラをみるようになった頃。
昨年のマイスタージンガーでは男性が下半身露出していましたね。
バスチーユのワルキューレでは、ワルキューレ達は乙女と言うことでの白い衣装で統一。第3幕の傷ついた戦士達の中からワルハラに連れて行くのにふさわしい英雄だけを選りだしている場面では、白衣のようにも見えます。
多分にダブル・ミーニングがあるのでしょう。白衣のワルキューレに解放されているのが、全裸の戦士達で皆性器を露出しています。
絵無しで何の予備知識も無しに聞いていました。こんな過激な演出だんたんですねー
と言う反応もあるでしょう。でも演出の意図はわからないし何か衣装を用意すべきかというと、こちらも意味のあるような衣装は必要にない共思えます。全裸で寝ているだけの骸・・・ただ、そう感じれば良いんじゃないかな。ともかくもこの場面での演出に疑問があったとかで第3幕が終わったらブーイングとなったのでした。
わたしは取り立ててつくじる程のものではないと思うけれども、NHKで映像付きでは放送されるとしてもぼかすんでしょうか?
“絵無しで予備知識も無しに”聴いた番組リスナーは少なくはなかったとは思います。今回のワグナー演奏は日本のワグネリアン(ワグナー音楽信望者)には満足の出来る音楽だったかどうかは、ワグナーの音楽に求めるものが作品によって違うようですけれど納得させられるものではなかっただろうというのが多くのレビューに共通しています。でも、わたしは今回のワグナーは色彩的で屈託がない。カジュアルに楽しめる“ワルキューレ”の音楽だったと喜んでいます。[ JUGEMテーマ:オペラ ]